僕は忘れない 南の島の市場猫4。
2017年10月26日に撮影。
新しい市場への引越しまで後5日。
そろそろ整理を始めないとと語る、花屋のお母さんでしたが
目を細めて猫を見つめるばかりで、手は中々進みそうにありませんでした。
「でもいい場所を貰えたから、年だけどもう少し頑張らないとね」
相対売り場でモヤシのヒゲ取りに精を出すおばあたちは
ゆんたく(おしゃべり)を楽しみながら、何十年間そうであったように
自分の居場所で仕事に勤しんでいます。
今頃は皆さん、新しい市場で頑張っている事でしょう。
何十年間も前から、ここに居たような顔をしながら。
悲観ばかりしていた僕でしたが、皆さんの泰然自若振りを見ていると
入れ物は変わっても、農連市場の伝統や文化はしっかり受け継がれる。
そう考えるようになりました。
でも残念ながら、再開発を期に市場を卒業される方々もいて…。
この惣菜屋のお父さんもその一人。
カマボコ屋のおばあと並んで、市場を代表する愛猫家でした。
脚の持病が悪化したので、急遽店の継続を断念したのだとか。
「引越しは何時になりそうですか?」
「う~ん、11月の頭頃までには」
「じゃあ、もう一回来られそうだから、その時は
撮らせて貰った写真を焼き増しして来ますね」
「あ~」
お父さん、話が違うじゃないのよ!
写真、たくさん持って来たのに…。
(2009年撮影)
「私に預けなさい。つよし(お父さんの名前)は
実の弟以上の存在だから、渡してあげる 」
とは、市場の愛猫家の女王、カマボコ屋のおばあ。
涙が出そうになる、力強いお言葉。
お土産のカマボコとともに、勇気を頂きました。
でも、何と言っても南の島のおばあですからね。
写真がつよし父さんの手元に届く確率は半分か…。
新しい店の壁にピンナップされている、に一票(笑)。